ダイナミックフィギュア/作品レビュー
<発表媒体・期間>
小説 早川書房 上・下
上巻 2011年2月20日
下巻 2011年2月20日
<あらすじ>
突如宇宙より到来した渡来体「カラス」によって地球上空には″STPF″と呼ばれるリング状の構造物が建造されてしまう。このリングには人間に精神的苦痛を与える作用があった。このリングに近づくことさえできない人類は為すすべもなかったが、カラスが次のSTPFを建造しようとしたとき第二の渡来体「クラマ」が現れ、カラスを駆逐していく。しかし一基のSTPFはそのまま残ってしまい、人類はSTPFが上空を通過する「弧介時間」と呼ばれる時間は精神的苦痛を耐えなければならなくなった。
地球の危機はそれだけでは済まなかった。STPFの一部が地球に落下、日本の四国にも落ちてくる。落下地域は「化外の地」と呼ばれ、生き物が入り込めない土地となってしまうが、このSTPFから「キッカイ」と呼ばれる異生命体が現れる。このキッカイと呼ばれる生物は外部から学習した概念を「走馬燈」とよばれる器官で覚え、死の間際に次世代に伝える遺伝メカニズムを持っていた。よってキッカイに対しては、進化を促すような行為は禁止され、走馬燈を除去してから退治するという何十にも制限された戦いを余儀なくされた。
これに対し日本政府は二足歩行特別攻撃機「ダイナミックフィギュア」を開発し、キッカイ撲滅のため要撃作戦を計画していた。
<おすすめポイント>
- 最初は基本設定・用語をおぼえるのに苦労するが、この独特の世界観にハマると抜け出せない。そしてこの設定だからこそ必然と思えるダイナミックフィギュアの存在。これがリアルロボットだと再認識する。
- 主人公「栂 遊星」の成長物語とその一途な公文土筆への思いに感涙。
- 進化を続けていくキッカイとの戦いは激しさの連続だが、ダイナミックフィギュアを有する日本と世界各国との関係も少しづつ変化していき緊張度合も増していく。
- どうかアニメ化をお願いします。高橋良輔監督!
<おすすめしないポイント>
- 終盤は少し急ぎ過ぎている印象を受ける。エピローグではもう少しその後を描いてほしかった。
- 表紙絵のダイナミックフィギュアがかっこ悪い。リアルさを追求しているのはわかるが、もう少しどうにかならなかったものか。管理人は表紙を見て購入を悩んだ。リアル実物大ロボット「クラタス」を見習ってほしい。
- 物語中頻繁に視点が変わるが、数ページほど読まないと誰の視点なのかわからないときがある。
早川書房
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